追 記 市河晴子 穂積陳重 穂積歌子 市河三喜 穂積家とのお付合い
  穂積歌子1863-1932)

穂積陳重の妻。渋沢栄一の長女。

夫と共に観劇に造詣が深く家族、大学関係者、実業界との交流を記した「穂積歌子日記」―1890−1906には天候や地震・家族の動向・日常生活の細かな状況・観劇の演目、出演者、感想、同行者まで記されている。 季節ごとに登場する草花や「お庭のばらを愛でる会」など、数行からの簡潔な表現ながらまるで絵巻を観ているようである。時代背景や社会的地位から推察しても、ご夫婦の教養の広さ、深さが滲み出ている。櫻井錠二家でも歌舞伎・観劇はいつも夫婦揃って出掛けていたと聞いてはいたがこの日記で日にちまで明らかになり又、櫻井家でも記録に残っていない春木町の火災で類焼(半焼)し、お見舞いを頂いたことなどが記されていることに驚嘆した。祖父やその時代を知るうえで大変参考になり興味を覚えた。又、お孫さんの穂積重行氏補足説明は百貨辞典を開くまでもなく歴史の一ページの証言のようである。この日記は明治23年から明治39年までを纏められたとあるが、それ以降の編纂を切望し是非とも拝見したいものである。